導入前の課題:検索から「消えた」製品。SEO専任ゼロで始まった挑戦
── まず、御社のビジネスについて教えてください。

松尾様:櫻川ポンプ製作所は日本初の水中ポンプの専業メーカーで、創業から70年以上の歴史があります。長年ポンプを作り続けてきましたが、最近はポンプ単体だけでなく、これまで培ってきた流体技術を活用した新しい製品開発にも取り組んでいます。より広い流体技術の領域をカバーできるように、モルタルポンプや散水車といった新規事業にも挑戦しているところです。
私は総務に所属していて、ホームページ周りを担当しています。こうしてYutori Techさんと一緒にSEO対策やコラム制作をしたり、新しい製品が出たら動画やチラシを作ったりもしています。
── 山崎様はいかがでしょうか。

山崎様:私は情報システム課の所属で、実はSEOとはまったく関係のない部署なんです。業務内容としては、社内で在庫の管理や受発注の管理をしているシステムがあるので、その整備が主な仕事になります。
── そもそも、御社がSEOに取り組むことになったきっかけは何だったのでしょうか。
※本プロジェクトの立ち上げを推進されたのは、当時Webまわりをご担当されていた高里様です。サイトリニューアルの検討から発注、実際の制作進行に至るまで、そのほとんどを高里様とご一緒させていただきました。ここでは、当時の経緯を引き継がれている松尾様に、高里様から聞いているお話として伺っています。
松尾様:そこは、当時Webまわりを推進されていた高里さんから聞いている話になります。
櫻川ポンプ製作所は、業界内では知名度はあるもののネットで検索してもホームページや製品ページがあまりヒットしなかったそうなんです。それで社内から「ネット検索でも見つけてもらえるようにしたい」という声が挙がったのが、そもそもの始まりだったと聞いています。
そこで解決策を調べ始めて、上位表示させる方法としてSEO対策というものがあると知り、いくつかの会社に相談したそうです。ただ、どこに相談しても「そもそも御社の以前のホームページはGoogleのクローラーが認識しづらい構造になっていて、この状態でSEO対策をやってもあまり効果が出ないかもしれない」という回答が多かったと。
それならSEO対策だけでなく、ホームページのリニューアルも一緒にできる会社がいいだろう、ということになって。そうやって探していたちょうどその時期に、Yutori Techさんから営業のお電話をいただいたそうです。
── リニューアルも含めてとなると、費用面のご懸念もあったのではないでしょうか。

松尾様:まさにそうだったようで、最初は他社と同じように「リニューアルもできるけれど、すごく費用が高くなるんだろうな」と思っていたそうです。ただ、使用するプラットフォームがWordPressで、自分たちで中身を編集できると聞いて、それならいいかもしれない、と話を聞くことになったと。以前のホームページは修正のたびに委託会社へお願いする必要があって、コストパフォーマンスが良くなかったという背景もあったようです。
他の似たサービスを提供している会社さんは、やはり費用が高すぎたり、コラムを書くための別のソフトが必要で、それに月額が別途かかったりしていたそうなんです。その中でYutori Techさんは「Geminiでコラムを書きましょう」ということで、弊社はすでにGeminiをフルで使える環境があったこともあり、まさに「探していたものが見つかった!」という印象だったと聞いています。
高里さんはトータルで2〜3年こうしたサービスを探し続けていたそうで、「逆に、見つけてくださってありがとうございます」と言っていました。
── そうしてサイトリニューアルとSEO支援が始まったわけですが、お二人が担当になると決まったときはいかがでしたか。
松尾様:正直に言うと、私はまだ入社したばかりのタイミングでこの役割を任されたので、SEOが分からないのはもちろん、そもそも水中ポンプという製品自体もよく分かっていない状態でした。加えて、グループ会社以外の外部のコンサルティング会社の方と一緒に仕事をするという経験もそれまでなくて。知識もない状態で大丈夫なのかな、という不安が大きかったですね。
山崎様:私が聞いていたのは「ホームページを整備する」ということだけで、コーディングの経験は2日間の研修と学生時代に少し触った程度でほとんどなかったので、「そういう整備が自分にできるのかな」という不安が一番大きかったです。
取り組みの始まり:「こんなに簡単にできちゃうんだ」
── 実際にキックオフから施策が始まって、心境に変化はありましたか?

山崎様:これは本当に印象的だったんですが、私は「ものすごくたくさんコーディングをすることになる」と思い込んでいたんです。それが、Gem(Gemini)を使ったらぱっと出てきてしまって。「あ、こんなに簡単にできちゃうんだ」と、本当にびっくりしました。
松尾様:私も、それまではAIを調べ物でちょっと使うくらいで、正直「使って有益だ」と思えるほどの環境がそもそもなかったんです。そこから一気に踏み込んだ使い方を教えていただいて、「ここまでできるのか」という驚きが一番大きかったですね。
── 初めて自分たちの書いた記事が検索でヒットしたときは、いかがでしたか?
松尾様:ちょっと不思議な気持ちでした。そもそも自分の制作物が世に出るという経験自体がなかったので、AIを使ったとはいえ自分で作ったものがGoogleの検索結果に表示されるというのは、完全に初体験でした。
山崎様:私も最初に出たときは不思議な感じでしたね。ただ、公開したあとも「大丈夫かな」という不安はずっとありました。普段の業務でもシステムを本番環境にあげて様々な人が触るところに出すのですが、不具合などに気をつけるシーンが多いので。それと同じような不安がありました。
正直に言うと苦労したこと:専門知識を「翻訳」する難しさ
── 進める中で苦労された点も、正直にお聞かせいただけますか。

松尾様:ありすぎるくらいあります!ただ、苦労したのはAIへの指示の出し方ではなくて、出力されたものを噛み砕くことが一番でした。水中ポンプはどうしても技術的で専門的な話になるので、それを一般の方向けに分かりやすく例えながら翻訳するというか。そして専門領域のファクトチェック。そこが一番苦労しました。
山崎様:私も松尾さんと似たところですが、ファクトチェックをしたあとにGemへもう一度入れて「直してほしい」と伝えても、出てくる文章がどうしても納得できないことがあるんです。そういうときは「自分に語彙力や文章(プロンプト)力が足りないな」と感じます。最終的には自分で直そうと思うんですが、コラムの文章をどうしていいか分からないな、ということが結構あります。
成果:問い合わせ件数が過去最高を記録し、「数の中身」も変わった
── そんな中、成果の面ではいかがでしょうか。

松尾様:直近ですと、お問い合わせ件数が過去最高の30件を記録しました!26年8月現在も、お盆を挟んでいるにもかかわらず非常に良好なペースで推移しています。
件数以上に大きいのは、数の中身が変わったことです。以前も集計はしていたのですが、図面の依頼などが混在していて、「この仕様が知りたい」「こういう環境で使いたいので選定してほしい」という具体的な検討段階のお問い合わせがどれだけあるのか、明確には分かっていませんでした。それがきちんと見えるようになった上で30件という数字なので、かなり手応えがあります。
山崎様:私はもともと問い合わせ件数を追っていなかったので、「30件」と聞いた時点では正直ピンと来ていませんでした。ただ、だからこそ後で推移を知ったときに、想像以上に伸びていることに驚きました。
波及効果:SEOをきっかけに、社内へAI活用が広がっていった
── SEO以外の業務でも、AIを使う機会は増えましたか?
松尾様:非常に増えました。本当に本当に増えました。便利さを知ってしまったので、「これもできるんじゃないか」と自分でいろいろ試すようになって。
それが社内に回っていって、他事業所の営業から「Geminiの講習会をやってほしい」と依頼が来たんです。それでプレゼン資料を自分で作って、Meetをつないで大阪の営業10名ほどに向けてレクチャーをしました。社内では会社のシステムとしてGeminiがあることは知られていても、実際は調べ物やメール作成で終わっているケースが多かったので、「Gemという機能があるんですよ」「こんなことまでできるんですよ」とお伝えして。「すごく便利」という反応や、「これはどうなの」「こう聞いたらどう答えるの」といった質問もいただけました。
山崎様:あのレクチャーで一番印象に残っていたのは、Geminiでの画像編集の説明でした。「これを言ったらこうなって、これを言ったらこんな感じになって、最終的にこうするといいですよ」という見せ方で。画像だったので分かりやすかったし、一番馴染み深くて、「あ、これなら使いたいな」と思わせる感じでしたね。
私自身も、もう全然変わりました。元々GeminiやChatGPT自体は定期的に使っていたのですが、一番大きいのはGemを使うようになったことです。Gemが便利だなと思って、コラムを作る以外にも自分で作ってみるようになりました。最近はプログラムのこともAIに聞くので、自社システムの情報をあらかじめ入れておいて、「こういう風にするにはどこを修正したらいいですか」と相談できるGemを作ったりしています。
これからの展望:成果を社内に共有できる仕組みへ
── 今後の展望について教えてください。

松尾様:正直なところ、今は件数やヒット数の推移を私と山崎さんしか見られていない状況なんです。それはあまり良くないと思っているので、どこかでちゃんと社内に報告できる場を作りたいと考えています。せっかく数字が伸びているので、それを社内全体で共有できる形にしていきたいですね。
株式会社櫻川ポンプ製作所様からのメッセージ
── Yutori Techをご検討されている企業様へ、メッセージをお願いします。
松尾様:AIに興味があり使われている方にも、気になるけれどちょっと手をつけづらいなと思っている方にも、どちらにもおすすめできると思いました。
すごく小さなことでも全部答えてくださるんです。大人になっていくと、分からないことを聞くのが気まずい雰囲気ってあるじゃないですか。そのハードルが全然低いというか、細かいことでも聞けばすぐに答えてくださる環境なので、そこはとてもありがたかったですね。
── 最後に、御社の魅力についてもぜひお願いします。

松尾様:「水中ポンプ」と言われても、どこで使われているのかよく分からないという印象を持たれる方が多いと思います。実際、建設用の重機やクレーンなどと比べると、サイズも小さくて人の目にはつきません。
でも、やっぱりどの現場にも必要な縁の下の力持ち的な存在なんです。弊社は水中ポンプだけでなく、水中機器や開発製品などラインナップが豊富で、色々な現場で活躍できます。それだけお客様に寄り添った最適なご提案ができるところが魅力的だと思います。
また、全国に11カ所の営業所を展開しており、地域によってお客様の層や求められる製品、案件の特色が異なります。地域によって営業スタイルが異なるのも、弊社ならではのユニークな面白さだと感じています。
さらに、社員が「挑戦したい」ということに対して、基本的にはNOと言われません。前向きなチャレンジを応援してくれる社風でもあります。こうした環境で一緒に働いてくださる方にも、ぜひ興味を持っていただけたら嬉しいですね。
山崎様:製品として押したいのは、やっぱり頑丈さです。耐久性にお悩みをお持ちの企業様には、ぜひお問い合わせいただきたいですね。
松尾様:あとは、最近は関東でも豪雨や水害の被害が増えてきているので、そういった場面で活躍できるポンプの取り扱いもありますし、関連するコラムも公開しています。建設業界や豪雨対策に関心がある皆様にも、ぜひ一度ご覧いただけたら嬉しいです。
Yutori Techから最後に

Yutori Tech 矢嶋:本プロジェクトは、サイトリニューアルからご一緒させていただきました。「検索しても自社の製品が出てこない」という課題を起点に、SEO対策だけでも、リニューアルだけでも解決しない——その構造をご理解いただいた上で、両方をセットでお任せいただけたことが、その後の成果に直結したと考えています。
そして本プロジェクトのもう一点の特徴は、SEOの専任担当が一人もいない体制から始まったという点です。総務でご入社直後の松尾様と、情報システム課という本来SEOとは無縁の部署の山崎様。お二人とも不安を抱えたスタートでしたが、AIを「与えられたツール」ではなく「自分の道具」として使いこなし、直近ではお問い合わせ件数で過去最高を記録されました。
さらに素晴らしいのは、その成果がSEOの枠を越えて社内に波及していったことです。松尾様が自ら資料を作って他事業所の営業10名にレクチャーをされたこと、山崎様がご自身の本業であるシステム改修のためにGemを自作されたこと。これはまさに、私たちが目指している「技術とリアルを接続する」という状態そのものだと感じています。
一方で、専門情報のファクトチェックや文章表現の壁といった課題も率直にお話しいただきました。ここはまだ伴走の余地が大きい領域です。今後は成果を社内全体で共有できる仕組みづくりも含めて、完全自走体制の構築に向けて全力で伴走してまいります。

